論文から、シーシャを読む。
シーシャ(水たばこ)に関する研究論文を、毎週ひとつ選んで紹介します。香りの化学、炭の科学、数百年の歴史、そして健康のこと。原典を読み、数字を確かめ、店にとって都合の悪いこともそのまま残します。
この連載が業界の健全な発展に寄与せんことを。
S2 SHISHA店主 敬白
※ これは学びと楽しみのための読み物です。紹介する研究のエビデンスの強さはさまざまで、記事ごとに「これは査読論文」「これは諸説ある話」を明記します。シーシャは「たばこ」であり、健康への影響があります。医療的な助言ではありません。
記事一覧

たばこ葉不使用のシーシャフレーバー、違いは「ニコチン量」だけ
――ノンニコチンでも「タール」は同程度に検出
葉の代わりに詰めるのは、サトウキビの繊維。含ませる糖蜜と香料は変わらない。31人ぶんの吸い方を喫煙マシンで再現して煙の6項目を測ると、有意差がついたのはニコチンだけだった。論文が出どころに挙げるのは、葉ではなく炭と糖のほうだ。
出典: Food and Chemical Toxicology(2012年)/ アメリカン大学ベイルート校ほか査読論文続きを読む →
「シーシャは紙巻きたばこより害が大きいと思いますか?」
――最も多かった回答は「わからない」
米国成人11,768人への調査。シーシャを知る回答者に紙巻きたばことの害の認識を比べてもらうと、「わからない」が43.9%、「同等か、より大きい」が43.1%で横並びだった。害を軽く見る人ほど実際に吸っていたが、横断調査ゆえ、「害を軽く見ているからシーシャを吸う」のか、「シーシャを吸っているから害を軽く見ている」のかは判断できない。
出典: Addictive Behaviors(2017年)/ジョージア州立大学査読論文続きを読む →
たばこを吸えば、死刑だった
――それでも兵士は、処刑に立ち会いながら袖のパイプを吸っていた
たばこがオスマン中東に届いて百年、17世紀末には重さあたりでコーヒーより安くなっていた。宗教学者は陶酔と怠惰と「革新」を並べて非難したが、クルアーンに禁じる明文はない。論争を終わらせたのは経典の一行ではなく、戦費に追われた国家の財政だった。
出典: American Historical Review 111巻5号(2006年)1352–1377頁 / James Grehan(ポートランド州立大学)査読論文続きを読む →
「すぐ火が着く炭」は、一酸化炭素が2倍以上出ていた
――「高温だから有害」では、なかった
着火剤入りの「クイックライト炭」は、90分の実測で一酸化炭素が天然炭の2倍を超えた。ばらつきも4倍大きく、COの出方そのものが一定でない。ところが炭の表面温度は、天然炭のほうが高かった。
出典: Undersea & Hyperbaric Medicine (2015年、42巻4号) / デューク大学査読論文続きを読む →
シーシャの香りを科学する
――「ピーチ」と「シナモン」の甘さは別物
13点のシーシャフレーバーをSPME(固相マイクロ抽出)にかけると、計114種の分子が検出された。そのうち5種を炭とともに190℃まで熱すると、加熱前には無かった分子が81種あらわれる。その大半は香料由来ではなく、コールタール由来とみられるという。
出典: Scientific Reports (2018年) / カイロ大学ほか査読論文続きを読む →