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Society & Psychology2026.07.318分で読めます

米国成人の約6人に1人がシーシャを経験していた

利用の広がりと、紙巻きたばこより害が少ないという認識のずれ

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シーシャの煙にはニコチン、一酸化炭素、タールなどが含まれることが先行研究で指摘されているが、それでも紙巻きたばこより害が少ないと受け止められやすい。研究チームは、この認識のずれと利用の広がりを、米国成人の全国調査で確かめた。

Study overview

研究概要

対象
米国の18歳以上。2014年5,717人、2015年6,051人
調査
全米を代表するよう設計されたオンライン横断調査
主な指標
生涯経験、直近30日利用、紙巻きたばこと比べた害認識
分析
回答者構成を補正した割合と多変量回帰分析

なぜ米国成人全体を調べたのか

シーシャは友人と45〜60分ほど囲む「社会的な儀式」と見られ、若者や大学生で人気が高まっていた。先行研究は、1回の利用で紙巻きたばこ1本より多くの煙やニコチン、一酸化炭素などにさらされ得ることや、肺がん・食道がんとの関連を報告していたが、害や依存性は低いと思われがちだった。

FDAは2016年、併用や健康リスクへの誤解を背景に、シーシャフレーバーを含むたばこ製品を規制対象とし、18歳未満への販売を禁止して、製品および広告への健康警告文の表示を義務付けた。当時の米国研究は若者など一部の集団に偏っていた。全国調査の生涯経験率は2009〜2010年の8.8〜9.8%から2012〜2013年の12.3%へ上がっていたが、現在利用率は調査ごとの定義によって値が変わる。本研究は成人の利用率、関連する特徴、害認識を順に調べた。

2年分をまとめた全国調査

研究チームは、全米を代表するよう設計されたオンラインパネルKnowledgePanelで、2014年に5,717人、2015年に6,051人の18歳以上を調べた。住所を無作為に選び、ネット環境のない世帯には機器と回線を提供した。利用率は推定を安定させるため2年分を統合し、害認識は2015年にシーシャを知っていた人を対象とした。

「生涯経験」は、シーシャを人生で一吸いか二吸いでも経験した人、「直近30日利用」は過去30日に使った人である。リトルシガー/シガリロ、一般的な葉巻、電子たばこも尋ね、3種類を「ほかのたばこ製品」とした。

紙巻きたばこは、生涯100本以上で現在も吸う人を現喫煙者、生涯100本以上で現在は吸わない人を元喫煙者、生涯100本未満を非喫煙者とした。この研究の非喫煙者は、一度も吸ったことがない人だけではない。害認識は紙巻きたばこより「少ない」「同じ」「多い」「わからない」で尋ね、分析では「同じ」と「多い」をまとめた。割合を人口構成に合わせ、年齢などを同時に考慮する回帰分析も行った。

生涯経験15.8%、直近30日利用1.5%

シーシャを知っていた成人は80.9%だった。生涯経験は15.8%(95%信頼区間15.0〜16.7%)で約6人に1人、直近30日利用は1.5%(同1.2〜1.8%)だった。生涯経験は25〜34歳で32.4%、18〜24歳で25.0%、直近30日利用はそれぞれ3.8%、3.6%だった。

生涯経験は男性18.8%、女性13.0%、非異性愛者29.0%、異性愛者15.1%だった。大学で学んだ経験のある層は18.5%、学士号以上は19.8%で、両者は別の学歴区分である。直近30日利用には学歴による明確な差がなかった。

ほかの製品との重なりも大きい。リトルシガー/シガリロ、一般的な葉巻、電子たばこの生涯経験者で、シーシャの生涯経験は32.8%、31.3%、43.6%だった。各製品の直近30日利用者では、シーシャの直近30日利用が12.2%、9.1%、11.4%だった。

年齢などを考慮しても残った関連

調整オッズ比は、年齢などを考慮したうえで、「経験した人÷経験していない人」というオッズを2群で比べた値だ。仮に基準群で100人中10人が経験者なら、オッズは10÷90≒0.111となる。

生涯経験を結果とした分析では、高校卒業未満に比べ、大学で学んだ経験のある層は1.53倍、学士号以上は2.21倍だった。非ヒスパニック白人に比べ「その他の非ヒスパニック」は1.38倍、異性愛者に比べ非異性愛者は1.64倍だった。これは原因ではなく、ほかの条件を考慮した関連である。

各製品の未経験者に比べ、シーシャ生涯経験のオッズはリトルシガー/シガリロ経験者で2.79倍、一般的な葉巻で2.61倍、電子たばこで3.72倍だった。紙巻きたばこの元喫煙者は非喫煙者の1.51倍だったが、現喫煙者の独立した関連は確認されなかった。

直近30日利用では、65歳以上に比べ18〜24歳の調整オッズ比が34.22倍だったが、95%信頼区間は7.05〜166.13倍と広い。各製品の非利用者に比べ、リトルシガー/シガリロ利用者は4.15倍、一般的な葉巻は2.98倍、電子たばこは6.68倍だった。3製品のどれかを使う人は、使わない人の8.27倍だった。この関連が紙巻きたばこの現喫煙の有無で変わる証拠はなかった。

害について「わからない」が43.9%

害認識は、2015年にシーシャを知っていた成人が対象である。紙巻きたばこより害が少ないは13.0%、同じかそれ以上は43.1%、「わからない」は最多の43.9%だった。

害認識を結果とし、「同じかそれ以上」を基準にすると、18〜24歳が「害が少ない」と答える調整オッズは65〜74歳の2.7倍、学士号以上は高校卒業未満の2.3倍、紙巻きたばこの非喫煙者は現喫煙者の2.1倍だった。シーシャ生涯経験者は未経験者の2.8倍で、これは「害が少ない」と認識するオッズの比較である。

別の分析では直近30日利用を結果とし、「害が少ない」と答えた人は「同じかそれ以上」の人より利用オッズが5.18倍だった(95%信頼区間2.70〜9.91倍)。関連はあっても、認識と利用のどちらが先かは決められない。

研究者が見た利用の広がりと知識の空白

著者らは、生涯経験15.8%が過去の全国調査より高いことを、シーシャを試す人の増加を裏づける結果と解釈した。若い成人や大学教育を受けた人で多い背景として、大学近くの店舗、ネット広告、若者を引きつけるフレーバーを挙げた。ほかのたばこ製品との重なりから、特徴的な利用者群がある可能性も示した。

さらに、シーシャの害を低く見る傾向が示されたことを「知識の空白」として捉えた。若い人、学士号以上、シーシャ経験者で目立ち、紙巻きたばこの非喫煙者にも多かった。この非喫煙者には別の製品の利用者が含まれ得るため、理由の追加研究が必要だとした。

経験者が害を低く見る背景として、著者らは先行研究から、心地よいフレーバー、水を通した煙、化学物質が少ないという考え、社会的な受け入れやすさを挙げた。本調査で個々の理由を直接確かめたわけではない。

この研究から決められないこと

オンラインパネルは全米を代表するよう設計されたが、一般化には限界がある。また横断研究なので、ほかの製品利用や害認識と、シーシャ開始のどちらが先かはわからず、因果関係は結論できない。

利用は自己申告で、シーシャなどの申告の妥当性は当時十分に確認されていなかった。記憶や答え方の偏りがあり得る。過去30日に1回でも使えば利用者としたため、別の定義の研究とも単純比較できない。

必要なのは、対象に合った正確な情報

シーシャの生涯経験は米国成人の約6人に1人で、ほかのたばこ製品との重なりが大きかった。害は「わからない」が4割を超え、若い成人などで紙巻きたばこより少ないと見る関連があった。

著者らは、特徴が表れた集団へ実際のリスクを伝える情報提供が急務だと結論づけた。単独利用と複数製品の併用、その健康影響を調べ、対象に合った健康メッセージを届ける必要がある。

Source takeaways

原典の要点

  • 2014〜2015年の米国成人では、シーシャ生涯経験15.8%、直近30日利用1.5%だった。
  • ほかのたばこ製品の利用者ほど、シーシャの生涯経験・直近30日利用のオッズが高かった。
  • 2015年のシーシャ認知者では43.9%が害を「わからない」と答え、13.0%が紙巻きたばこより少ないと見ていた。
Reading cautions

読むうえでの注意

  • 横断研究のため、害認識やほかの製品利用とシーシャ利用の前後関係・因果関係は決められない。
  • 利用は自己申告で、直近30日利用の定義が異なる研究とは単純比較できない。
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